ビジネス文書など長文の翻訳を行う場合、専門的知識を有する人材を確保するのに時間やコストがかかり、不便を感じている担当者も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、AI翻訳サービスです。
AI翻訳サービスなら、翻訳の精度も高く、時間とコストを削減することが可能です。
この記事ではAI翻訳サービスの概要と選定ポイント、プロの翻訳との違いやメリット・デメリットについて紹介します。
このページの目次
AI翻訳サービスとはその名の通り、AI(人工知能)を活用して高い精度の翻訳を行うサービスです。
深層学習(ディープラーニング)技術により、プロの翻訳者に引けを取らない精度の翻訳を実現しています。また、人間と比較してほんのわずかな時間で翻訳が完了してしまいます。
AI翻訳サービスというとGoogle翻訳など、無料インターネット翻訳を思い浮かべる方も多いと思います。これらは手軽に利用できるものの実用的に十分とは言い難く、特にテクニカルドキュメントなどの専門文書の翻訳は困難で、セキュリティ面も万全とはいえません。
企業で利用する場合は無料・個人向けのものではなく、法人向け(有料)のものを選択することをおすすめします。
画像出典元:「COTOHA Translator」公式HP
COTOHA Translator(コトハ トランスレーター)は、NTTコミュニケーションズ株式会社が提供する国内製のAI翻訳サービスです。
最新のニューラルマシントランスレーション技術を採用し、TOEIC960点相当の超高精度な翻訳を実現しています。
利用方法はファイルをドラッグ&ドロップするだけの簡単操作と、人なら7時間程ある翻訳量も2分で完了してしまう圧倒的翻訳スピードを誇ります。専門用語を登録できる辞書機能があり、製造業から金融機関まで幅広い業界で利用されています。
翻訳結果のファイルや登録辞書の内容はすべて暗号化され、セキュリティ面も万全です。
・25言語対応
・辞書登録機能
・リバース翻訳機能
・初期費用:0円
・月額費用:80,000円~
画像出典元:「Memsource」公式HP
Memsource(メムソース)は、世界で20万人以上のユーザーに利用されている海外製の翻訳支援ツールです。
特徴は、最先端のAI技術による翻訳管理機能です。コンテンツに最適な機械翻訳エンジンを選択し高品質の翻訳を実現。
さらに品質評価機能により、人による翻訳作業が必要な箇所を特定します。この様に機械と人とを組み合わせることで、品質を維持したままコスト削減を可能にします。
セキュリティ面ではISO27001認証を取得。通信はすべて暗号化され、データ保護・データプライバシーも確保されています。
・400言語対応
・自動翻訳メモリ機能
・用語管理機能
プラン | チームスタート | チーム | アルティメット |
月額費用 | 27ドル | 200ドル | 350ドル |
チームスタート:フリーランサー向け/チームスタート:中小企業向け/アルティメット:大規模企業向け
初期費用:0円
画像出典元:「Kiara」公式HP
Kiara(キアラ)は、日本のITベンチャー株式会社ジェニオによるAI翻訳サービスです。Slackのワークスペースに特化したリアルタイム翻訳を強みにしています。
もともと海外企業とのソフトウェア開発のために生み出されたツールであるため、C ++やPythonなどの難易度が高いプログラミング言語・テクノロジー用語でも、的確な翻訳が可能です。
非常にシンプルなデザインで文章を簡単に追加・削除でき、速やかに翻訳がされるのでSlackでの会話にストレスを感じません。海外企業とやり取りが頻繁に発生する企業に特におすすめのサービスです。
・100言語対応
・太文字対応機能
・モバイル対応機能
初期費用:詳細はお問い合わせが必要です
月額費用:35ドル~
画像出典元:「T-4OO」
T-4OOは幅広い専門分野に関する文書を翻訳できるツールです。
専門用語が頻出する文書を扱う企業に適しています。
一定期間で翻訳履歴が削除されるため、情報漏洩のリスクが不安な企業にもおすすめです。
ビジネスプランはユーザー1名あたり月額3,000円(ユーザー数10名まで)です。
少人数向けのスタータープラン、大規模企業向けのエンタープライズプランはお問い合わせをする必要があります。
画像出典元:「ジャパリンガル」
ジャパリンガルはインバウンド事業に特化した、低価格・短納期・高品質にこだわったオンライン翻訳サービスです。
NTT東日本のAI翻訳技術とTOPPANのプロの翻訳者ネットワークとを組み合わせた、新たなクラウド翻訳サービスです。
1文字から利用でき、100社以上が導入済みの人気のサービスです。
プラン | エントリー | ライト | レギュラー | エンタープライズ |
月額費用 | 42,500円 | 80,000円 | 225,000円 | 700,000円 |
月額プランは消費文字ポイントによって料金が変動します。
スポット的な使い方ができる従量課金プランも用意されています。
詳細は以下の記事をご覧ください。
画像出典元:「 Zinrai Translation Service」
Zinrai Translation Serviceは、セキュリティ対策が万全で高機能な翻訳サービスを導入したいと考える企業にうってつけです。
多人数で利用できる定額制のサービスで、全社で利用でき、テキストだけではなくファイルごと翻訳する機会が多い企業にもおすすめです。
・ベーシックプラン:165,000円 / 月
・スタンダードプラン:330,000円 / 月
・アドバンスプラン:660,000円 / 月
※価格にはサポート料が含まれています。
AIの翻訳精度の高さは何よりも重要なポイントです。翻訳したい文書の専門性が高ければ高いほど、翻訳が困難になってきます。
カスタマイズ性については、AIに専門用語を辞書登録できるか、会社の慣習などにあわせたチューニングができるかなど、スムーズな運用が可能かをチェックします。
翻訳精度やカスタマイズ性については実際にサービスを利用しなければ分からない場合が多いので、まずは無料トライアルなど利用するとよいでしょう。
無料で利用できるものや個人向けのAI翻訳ツール・サービスの中には、AIの辞書登録が共有されているものがあり、そのようなサービスを利用すると社内機密や取引先の情報漏洩につながる恐れがあります。
そのようなセキュリティリスクを回避するために法人向けの有料AI翻訳サービスを選択することに加え、データの管理体制など利用したいサービスのセキュリティ面を事前に確認しておく必要があります。
海外企業との情報共有、プレゼン資料や海外情報の収集など、ビジネスシーンで使用する文書のみを翻訳したいという場合は、ビジネス用語のみに対応しているものでOKです。
一方、医療・金融・学術論文など特に高度な専門知識を必要とする翻訳の場合は、その専門分野に特化したサービスを選ぶことをおすすめします。
翻訳したい文書の専門性を考慮し、自社の目的にあわせたサービスを選択しましょう。
プロの翻訳者による翻訳サービスでは、
などの特徴があります。
ただ、プロに依頼する場合はコストの心配と、専門的な知識を持つ人材を集めるのに時間がかかるというデメリットがあります。
一方、AI翻訳サービスでは、
の部分に優れており、ドキュメントを迅速にリリースすることが可能になります。
文章の精度に関してAIだけで心配な場合は、AI翻訳をした後に翻訳のプロによるチェックをしてもらえるサービスを選択するとよいでしょう。
人の手による翻訳では品質は保証されるものの、翻訳したい部分をリストアップしたり、専門知識を有する翻訳会社を探したりといった手間がかかってしまいます。
AI翻訳サービスなら翻訳スピードを飛躍的に向上させつつ、質の高い翻訳が手に入ります。
人間が行うよりも何倍も早く仕上がり、また自社に合わせた専門用語をAI翻訳ツールに登録していくことでより的確な翻訳が可能になります。
AI翻訳サービスの導入することで、翻訳業務に関するコストを大きく削減できます。外部翻訳業者に発注するコストはもちろん、社内で本業の傍ら翻訳業務を行ってきた社員の負荷を減らすことが可能です。
翻訳スピードが圧倒的に早いことから、これまでギリギリだった翻訳文書のスケジュールに余裕ができその後の業務に余裕が生まれるため、残業時間短縮効果も見込めます。
AI翻訳サービスを利用することでいつでもすぐに翻訳できるため、コミュニケーションの質が格段にアップします。資料の迅速な翻訳はもちろん、海外の取引先とのチャットをリアルタイムに翻訳することも可能です。
また、外国人社員との円滑な意思疎通にも役立ちます。どの部署においても翻訳サービスを利用できれば、社内ルール・イベントなどの周知がスムーズになり、社内に一体感が生まれるでしょう。
AI翻訳サービスで翻訳された文書を何のチェックもなしに表に出すことは難しいです。それが社外に出すオフィシャル文書なら、翻訳のプロによる確認・修正は必須となります。
AI翻訳サービスとプロの翻訳のメリット双方を活かしながらサービスを活用しましょう。
正確な文法に沿っていない文章、流行りの言葉や感情のニュアンスを表現した文章などの場合は、AI翻訳サービスでは的確な翻訳が難しいことも少なくありません。
無料トライアルなどを通し、翻訳したい文章の特性やAI翻訳サービスとの相性を確かめましょう。
法人向けAI翻訳サービスでは、これまでの翻訳業務でマイナス要素だった時間とコストの大幅な削減ができるだけでなく、上質で専門的な翻訳が可能になります。
他の翻訳手段との違いをよく考慮した上で、あなたの会社にぴったり合うAI翻訳サービスを導入しましょう!
画像出典元:O-dan